今回は、ちまたにあふれる栄養情報と栄養士、管理栄養士の位置づけについて書いてみたいと思います。
あなたは管理栄養士という資格にどのような印象をもっていますか?
- 食の専門家
- 病院に居る
- 献立を立てる
- 栄養計算をする
- 栄養相談をしている などでしょうか?
この動画は少し前に話題を呼んだCMです。
フィギュアスケートの浅田真央さんがヨーグルトになりきって
「私は我が家の管理栄養士です。」と言っています。
私はこれを見たときに、「真央ちゃん、管理栄養士の資格持ってるのかな?」と
違和感を覚えました。
よくよく考えると、真央ちゃんはヨーグルトになりきっているという設定で、実際には管理栄養士ではなさそうです。
さて、この件に関して引っかかる点は二つあります。
- 管理栄養士でない人が管理栄養士を名乗っていること
- ひとつの食品をとるだけで複数の疾病を改善できるかのように見せていること
目次
管理栄養士でない人が管理栄養士を名乗って仕事をしてはいけない
管理栄養士という資格は国家資格であり、簡単にとれるわけではありません。
2~4年生の専門の学校に通い、1~3年の実務経験を経るか、4年生の管理栄養士養成校に通って受験資格を得ることができます。国家試験の合格率も60%程度、既卒者の合格率については20%以下という難関です。(卒業後すぐに受験できれば、勉強したての時は合格率も高いのですが、実務経験を積む間に忘れるし、勉強する時間は無いしで合格率が下がってしまうわけです。)
法律(栄養士法)でも、管理栄養士の名称を用いて業務を行うことは禁止されているのです。
第六条 栄養士でなければ、栄養士又はこれに類似する名称を用いて第一条第一項に規定する業務を行つてはならない。② 管理栄養士でなければ、管理栄養士又はこれに類似する名称を用いて第一条第二項に規定する業務を行つてはならない。
栄養士法
ひとつの食品をとるだけで複数の疾病を改善できるかのように見せていること
そもそも一つの食品ですべての栄養を補ったり、疾病を治すことはできません。
そして、そんなことはまともな管理栄養士だったら言わないでしょう。
この製品のCMにも、非常に小さい字で3つの機能性について書かれています。
これらの機能性について商品ページではもう少し、詳しく説明されていたので、ご紹介しておきます。
3か月飲み続けて血圧は約マイナス5、血糖値はマイナス10、資質に関してはメカニズムまでしか掲載されていませんでした。
この結果をどう思いますか?
この効果が実際に出たら悪くはないかもしれません。ただし、次の3カ月で同じ結果が出るとも限りませんし、個人差があるので必ずしも結果がでるとは限りません。
管理栄養士としての見解
先ず、今回紹介した飲み物が「効果がない」とはいいません。(実際効果を検証している)大切なのはそれがどれくらいの効果を見込めるものなのか実証されていることとそれを知ることだと思います。
そして、それだけに頼らないこと。
健康に意識が高い人は「○○がいい」と聞くとそれをうのみにしてそればかり摂る傾向があります。健康番組で特定の食べ物が紹介されると翌日スーパーの棚からその食べ物が消える現象です。
リスクを分散する
例えば投資をするときに、一つの銘柄だけに賭けますか?
それはリスクが高いことだと思います。
食事も同じことで、一つのものだけ食べても必要な栄養素は補えないし、もしもその食べ物に毒が入っていたとしたら(農薬、添加物、未知の栄養素など)それはたちまち健康食品どころか「毒」ですよね。そしてそればっかり取っていれば致命的です。
栄養士・管理栄養士は生活全体を診る仕事
栄養士・管理栄養士の仕事は特定の食品を推したり、栄養素にフォーカスすることではありません。また食事全体にとどまらず、その人のライフスタイルにまでわたります。
栄養士と管理栄養士の違いは管理栄養士国家試験に合格しているかどうかの違いで、管理栄養士は病院をはじめ、大規模な給食施設には設置義務があります。管理栄養士免許を取ると仕事の幅が広がります。その結果経験値が上がることもありますが、結局はその人の経験やキャリアによってずいぶんずいぶん変わってきますので、その人次第だと思います。
もし身近に栄養士・管理栄養士がいたら是非食事のこと聞いてみてください。
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